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『校閲ボーイ』(後編)

 投稿者:ヨーコ  投稿日:2017年 3月23日(木)22時22分37秒
返信・引用
  「おはよーゴザイマス」
大学が休みの日はもっと寝坊しているのが常だった青年だが、今は勝手が違う。
居候の身だし、何しろお試しとはいえやりたいと思っていた校閲の仕事があるのだ。
「ああ、起きたか」
おはよう。
新聞に目を通していた部屋の主が青年を見る。
低血圧そうな彼は朝は特に無表情だったが、それで居づらいと思う青年ではない。
マイペースに話し掛けた。
「え~と・・・アンタ、朝飯どうしてんだ?」
テーブルにはコーヒーカップのほかには何も見当たらない。
「お前が起きたら、行きつけの喫茶店でモーニングでもと思っていた」
少し待ったと告げる男に、
「え?  まさかいつも外食とか?」
呆れ顔で質問。
「そうだが、何か問題でも?」
「問題だらけだろ。まず不経済!」
それに外食ばっかだと飽きる。
「そうか?  割とリーズナブルだぞ」
モーニング以外のメニューもあるしな。
反論する男の言葉を聞いているのかいないのか、青年は勝手にキッチンに向かっていた。
「ちょっと冷蔵庫見せろ」
おいおい、食材と呼べるもんがほとんどねぇぞ。
冷蔵庫内には差し入れらしいスイーツやドリンクなどは豊富にあったが、朝食にしたいと思える物がない。
「ちょっと待ってな」
バタバタと走って手近にあった上着を羽織り、サンダルを突っ掛ける青年。
「どこへ行く?」
「コンビニ」
いーもん作ってやるから!
「おい、気持ちはありがたいが・・・」
今日のところは良いから、と言い終える前にドアが閉まる。
「やれやれ」
朝から随分元気が良い、と男は思わず微笑んでいた。

「ただいまー」
こないだ見たねとめし、すぐ出来るからな。
食材はカレーパンととろけるチーズと卵。
カレーパン上部を切り取り、本体にチーズと卵を乗せ、爆発しないよう黄身に箸で穴を開けてレンチンした後オーブントースターで焼く。
すぐに食欲を刺激する香りが漂う。
「美味そうだ」
「だろ?  ヤバいから食ってみ」
「うむ」
「こーゆー簡単メシで良ければ俺が作るからよ」
アンタは仕事に集中してくれ。
「お前もやるべきことがあるだろう?」
「おー。けどそれはそれ、これはこれ」
まずは食おうぜ。
「「いただきます」」
きちんと挨拶をして二人で食事を取る。
「美味いな」
「だよなー。俺もいっぺんでハマった」
あ、昼は冷蔵庫のプリンでフレンチトースト作ってやるな。
見かけによらずマメな青年に、男は密かに感心していた。
それに、会話のある食卓。
一人暮らしでは味わえなかった楽しさがある。
それが数日続いただけで、男は徐々に青年との暮らしをかけがえのないものだと感じ始めていた。


「ここの渡船で移動したら5分だった」
で、乗り遅れた場合、次の船を待つより橋を渡った方が早くて、歩くと7分。
校閲の事実確認ということで、現地まで赴いた青年の報告を聞く。
「うむ。では、矛盾は生じないな」
「大丈夫だ。ただ、この店の閉店時刻がちょっと変わってた」
夏時間冬時間があるみてぇだぞ。
細かいところまでチェックしてきたようで、説明が長い。
「あ、ほかに気になったとこは付箋に書いて貼ってあるから、後で見てくれ」
ドラマじゃそうやってた。
「ああ、ありがとう」
編集者に渡す前に、変更した方が良い部分は直しておこう。


見様見真似ではあるものの、校閲作業は順調だった。
青年はたまに撮影があると言って遅くなることもあったが、かなり在宅率が高く、二人暮らしにも慣れ始めた頃。
「浮かぬ顔だな」
「・・・え?  あ、わかるか?」
ちょっとした表情の変化も見逃さない男に指摘され、青年は苦笑した。
「どうした?  仕事上のトラブルでもあったか?」
「うーん・・・トラブルってわけじゃねぇんだ」
ただ・・・
「ただ?」
「最近雑誌にも俺のページとか出来て」
「ああ、見たぞ。なかなか様になっていた」
「サンキュ。アンタに誉められんのは嬉しい」
下手な嘘吐かなそうだし。
「ああ、嘘ではない」
「うん。けど、なんか今度人気投票があるらしくてさー」
「嫌なのか?」
「本気でモデルやってる奴らと張り合うのってどうかと思ってる」
「自信がないということか?」
「・・・自信はなくもねぇけど、俺のやりたいことからどんどん離れてくっつーか・・・」
「なるほどな」
「片手間にモデルやってる俺なんかが、本職モデルと同じ土俵に上っていいのかなって」
「それが社の方針なのだろう?」
おそらく、K凡社的には既にお前が上位に食い込むと考えてエントリーしているはずだ。
「ん~・・・それって断れねぇよな」
「そうだな」
どうしてもモデル業をやめたいのなら、早い時点で断った方が互いに傷が浅くて済みそうだがな。
「そしたら、校閲部への異動も諦めなきゃってことだよな?」
「まあ、条件を反故にするのだからな」
「迷う~」
「以前から訊こうと思っていたのだが、K凡社以外で校閲の仕事をするという選択肢はないのか?」
「・・・あ、」
考えてみたことなかったな。
「・・・・・・」
青年は大いに世間知らずなのだ。
生活を共にして気付いた男は、その事実を再認識した。
「あ、もしかして、アンタどっかにコネ持ってるとか?」
「・・・なくはない」
それから・・・
今の様子ではおそらく見たことも聞いたこともないだろうと情報提供。
「書籍校閲専門の会社もあるが、知っているか?」
「え!?  マジで?」
「やはりノーチェックだったか」
苦笑を漏らしつつ、もう一つ重要なことを教える。
「O来社は校閲者を育てる活動もしているらしいぞ」
「へぇえ、そうなんだ」
「興味があるなら調べてみると良い」
「おう!  すぐ調べる」
やっぱアンタに言ってみて良かったぜ。
見違えるほど元気になった青年を見て、男は彼が望む道に進めれば良いと心から思った。
たとえそれで、自分の考えた脚本の主役を演じる可能性がなくなったとしても。


「あ、あとは、アンタの寝室で事実確認させてもらおうと思ってたんだ」
都合良い時入らせてくれよ。
悩んでいた表情から一転した青年は、思い出したように言った。
「寝室で?」
何を、と問う前に気付く。
男の書いた小説には濃いラブシーンも入っていて・・・
「そこは特に確認せずとも良いのではないか?」
男は作業の一部中止を希望したが、青年は折れなかった。
「とことんやってみてぇんだけど」


夕食後、無理やり男の許可を得てベッドの上を占領した青年が、
「ちょっと待てよ。この上でシャツ脱いだら投げても椅子に届かなくね?」
と何度もチャレンジしたり、
「ヤバい。こんなポーズしてたら足つっちまう」
などと実演するものだから、男の方も放っておけず傍らで見守る羽目になり・・・
「あのな。ここ、気になってたんだけど」
一人で解決出来なかった疑問を口にする青年に、
「なんだ?」
と問い返す。
「フツー、キスだけで意識が溶けそうになる、のか?」
超好きな相手ならそうなるのかな。
真剣な顔で首を傾げる青年は、とても初心に見える。
「そういう感覚はわからんか?」
男は面白半分で尋ねてみたのだが、
「わからねぇ。試しにちょっとやってみてくんねぇか?」
という予想外な返答に戸惑う。
「本当に、そこまで確かめる必要はないんだぞ」
仕事で好きでもない相手とキスなど、とんでもない。
青年が自分相手でなくともそんな事実確認をするつもりなのかと思うと、無性に腹が立った。
「自分をもっと大切にしろ!」
男がつい語尾を荒らげると、
「は!?  今更何言ってやがる」
眉間に皺を寄せた青年がぶっきらぼうに言い返す。
「今更とはなんだ」
反抗的な態度に、男も険しい表情のまま動かない。
すると、大きくため息を吐いた後、青年は叫ぶように言った。
「俺はもうアンタのこと、超好きになってんだ」
だから、仕事を口実に確かめてぇの!

男が青年の台詞の意味を理解するまで数秒。

「・・・驚いたな」
金色の瞳を見開いて発せられた言葉に、
「まだ気付いてないとか、こっちが驚いたぜ」
決死の告白で耳まで赤くした青年は、不満そうに呟いた。
「悪かった」
真摯な気持ちで謝罪した男は、自分も心を落ち着かせる為一つ大きな息を吐いて、
「では行くぞ」
と予告。
ゆっくり口付けようとして近付くと、
「あ、待て待て!  そんだけかよ!?」
青年は後退って訴えた。
「・・・・・?」
「鈍いな、アンタ」
ドラマだったらとっくに言ってるぜ?
「何を?」
「そこは“俺も好きだ”だろうがよ!」
脚本家のくせにそんくらいわかれっての。
「ああ、そうか。そうだな」
恋愛モノはあまり得意ではないからなと笑った男は、改めて青年の顔を覗き込み、
「俺も、ずっと好きだった」
真剣に、丁寧に告げた。
「へへっ。了解」
その言葉で機嫌を直した青年は、
「じゃ、よろしく」
と言った後唇を突き出し、自分が中断させていた行為を促す。
男は心の中でやれやれ色気がない、と苦笑しつつも、目の前の瑞々しい唇を塞いだ。

二人のファーストキスは軽く触れ合うだけのもの。

それでも・・・

「/////」
真っ赤になった青年に、つい尋ねてしまう。
「どうした?」
「やべぇ、俺・・溶けそうになるってゆーか・・・」
この先のこと考えてたら勃っちまった。
まさかの展開に、
「ロロノア・・・」
思わず彼の股間を凝視してしまう男。
確かに青年の分身が激しく自己主張しているのが、彼お気に入りのジャージ越しにもわかる。
「ってか、アンタの小説が悪ィんだからな/////」
次にあんなことやこんなことするって書いてあんだから、期待すんなって方が無理だろうが!
「想像力が逞しいな」
思わず声を上げて笑ってしまった男に、
「笑ってんじゃねぇよ!」
責任取れ、バカ!!  と八つ当たりをする青年が愛おしくて。
「悪かった」
謝りながら、抱き寄せる。
「アンタ、今日は謝ってばっかだな」
居心地の良い胸に顔を擦り付け、青年は自ら男の背に手を回した。


もう小説の通りに行動することは諦めた。
校閲の為の事実確認など二の次だ。
どんな形でもかまわない。
今は一刻も早く愛を確かめたい。


「好きだ、ロロノア」
額にキスを落として、思い切り甘い声で囁く。
「俺も・・っ」
既に準備万端な心に体が付いて来られるように深呼吸する青年。
何度も何度も、好きだという気持ちを乗せた唇を重ねる男。
徐々に深くなる口付けに、青年は酔ったような熱をもて余す。
「・・熱ィ」
乱暴にTシャツを脱ぎ、床に落とす。
「全部脱いでしまえ」
男は脱衣を手伝うふりをして、敏感になっている彼の体を愛撫する。
「・・・ひゃ・・っ」
大きな掌で撫でられ思わず声が出てしまった青年は、気恥ずかしそうに、
「自分でできる」
と言って、着ていたもの全てを取り去った。

「綺麗だ」
張りのあるきめ細かい肌。
男の繊細な指先で直接触れられ、
「・・ん・・・っ」
青年は鼻から抜ける声を発する。
素肌同士で触れ合う喜びを覚え、
「やべぇ・・超気持ちイイ」
今度はうっとりと呟く。
男はその様子を、金の瞳を細めて満足そうに見つめた後、全身丁寧に愛撫を施していった。

「もう、手加減出来んぞ」
「望むところ」

宣言し合った台詞が物語るように、激しく愛を交わす。
二人の相性は最高だった。
体だけでなく、おそらく心も。
そう、結ばれるべくして結ばれた運命の相手だと素直に思える。

「・・・ぁあ、もっと・・」
うわ言のように青年にせがまれ、男もその願いを叶えることに夢中になり・・・
結果何度も何度も愛し合う初夜となったのだった。



「・・・事実確認完了、だ」
さんざん啼いて掠れた声で呟いた青年の、汗で少ししっとりした髪を撫でながら、
「ほかの者とこんな事実確認をすることは許さんぞ」
男は釘を刺す。
「おう。当たり前だろ」
アンタは特別だ。
ふうーっと大きく息を吐いて、青年は夢見るように言った。
「『ヤミカラ』のカラスマルとコサギみてぇな関係になれたらいいって、ずっと思ってた」
「お前は盗っ人になりたいのか?」
「ばーか」
職業じゃねぇ。
「では、どういう・・・」
「相棒だよ、相棒」
「噛み合っていない二人だぞ?」
「それが一見正反対に見えて、芯の部分はそっくりじゃん」
男気あふれてて、超カッケーの!
『ヤミヨニカラス』は盗賊の頭を二人で担う話で、殺しや脅しを潔しとせず、悪行で潤った輩からのみ盗みを働く爽快なストーリーだった。
「それが伝わったのなら、あの作品を書いて良かった」
脚本家冥利に尽きる。
無名の役者を起用したことによるのかもしれないが、世間の評価はイマイチだった時代劇。
それでも、正直なところ男も気に入っていたのだ。
「おう。マジで書いてくれて良かった」
ありがとう。
感謝の言葉を述べた後、青年は健やかな寝息をたて始めた。
「礼を言うのはこちらの方だ」
聞こえていないとわかっていたが、その寝顔に告げる。
青年のような理解者が現れてくれたことは、男にとって良い転機になった。
今後は視聴率を気にした受け狙いではなく、自分が心から書きたい作品を書いていこうと思えたのだ。


その後、青年はモデルをやめて、校閲専門の会社が運営する学校に進学した。
K凡社をやめる前エントリーされていた人気投票では取り消しが間に合わず、ニューフェイスの部で1位を獲得。
伝説のモデルとして、語り継がれる存在になったのだった。
惜しまれつつ別の職種を選んだ彼を一番近くで見ていた男は、製作意欲を抑えきれなかった。
「やはりお前をモデルにした話を書こう」
高視聴率狙いではなく、純粋に書きたいのでな。
「そりゃ構わねぇけど、下手な役者にやらせんなよ?」
上から目線の伴侶に、
「ならばお前が演じろ」
逆に命令する。
「だからー、俺はとっくにモデルやめたし、俳優になる気もねぇの」
ブレない青年を、やはり好ましいと思う。
「では、オーディションでもするか」
「それでいいんじゃね?」


学校の課程を終え、晴れて校閲専門のO来社に就職した青年の主な仕事は在宅校閲。
そのほとんどが、作家兼脚本家ジュラキュール・ミホークの作品なのだとか。
指命が入れば極力作家の希望に副うよう人材派遣される為、青年の指命が切れたことはない。
作家とツーカーで強く意見も出来る校閲者はなかなかいないので、社では非常に重宝がられているのだそうだ。
「俺らって相棒かな?」
「ああ、かけがえのない、な」
「っしゃ!」
満足そうに笑う青年を見て、付け足す男。
「人生の伴侶でもある」
その呼称は青年を更に笑顔にさせた。
「そりゃ責任重大だ」


勘違いから始まった奇縁だが、今ではそれは運命だったと思える。
かけがえのない相棒を得て、ますます活躍の幅を広げた脚本家と彼を支える新米校閲者の話は“ほぼ実話”と銘打ちドラマ化された。
オーディションで主演の座を射止めた新人俳優の素人っぽい演技が賛否両論あった『校閲ボーイ』は、視聴率は思ったほど取れなかったが、一部の視聴者からは熱烈に支持されるヒット作になった為、続編の製作も検討されているという。
そして、男が青年に頼み込まれ書き始めた『ヤミヨニカラス』の番外編『ユキニサギ』もいつの日か世に出たら良いと二人仲良く考えているのだとか。
校閲の枠を越えて作家に口出しが許されるのも信頼関係あってこそ。
互いの仕事を理解していることもあり、多少の衝突はあるがプライベートも充実している為、愛が深まるのは必然で・・・
事実確認などという口実を探さなくとも、時間が許す限り自由に愛の行為が交わされることになっている事実は特筆するまでもない。




めでたしめでたし。


後編だけ、やたら長くなっちゃってすみません(>_<)
いやぁ、なんとかミホ誕月中に完結出来て良かった(自己満足)(^o^ゞ
皆様、最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました!
そして、もう一度言わせてください(^人^)
ミホ様、ハッピーバースデー(*^▽^)/★*☆♪
 
 

『校閲ボーイ』(中編)

 投稿者:ヨーコ  投稿日:2017年 3月 9日(木)22時06分35秒
返信・引用
  「すっげー!」
通された部屋には壁一面の資料のほかに今まで放送されたドラマや映画の台本が並んでいた。
「好きな台本にサインしよう」
「んじゃ『ヤミヨニカラス』の1話!」
早速本棚から一番のお気に入り作品を探し出した青年は、急いで男の元へ運ぶ。
「いいだろう。名前は入れるか?」
「おう、頼む!  ゾロ。ロロノア・ゾロだ」
「ロロノア・ゾロ君へ・・・で良いか?」
「うんうん。おー、すげぇ!」
サインをしている姿をじっと見ていた青年は、
「ありがとうございます!」
卒業証書を貰う時のように台本を受け取り、大声で礼を言った。
「どういたしまして」
その一連の行動を好ましく思った男は、きっと視聴者にもこういう青年は受けが良いだろうと踏んだ。
「今度お前を主役にした脚本を書いても良いか?」
「え!?」
「モデルをしているなら、俳優に転向することも出来よう?」
「いや、俺、そんなに長く今のバイトしてねぇと思うけど」
校閲部に異動出来れば即やめるし。
「本人が演じるのが一番良いんだがな」
「・・・なんで俺?」
「魅力があるからだ」
「な・・・っ/////」
ストレートな誉め言葉を聞いて頬を染める青年に、
「俺は職業柄人を見る目は確かだぞ?」
脚本家の男は世辞ではないと念を押す。
「あー・・・うん。そりゃ認める」
その眼力が、きっとドラマに活かされているのだろうと思う。
「当然話の中に校閲をしているシーンも入れられる」
「おお、そっか」
疑似体験できるわけだ。
「校閲の何が魅力だ?」
地味な作業ばかりだと思うぞ。
「事実確認だろ、やっぱ」
ドラマじゃそこがメインだった。
「なるほど。決して誤字脱字を探したいわけではないんだな」
「そりゃそうだよ」
それじゃ粗探しみてぇじゃん。
「ふむ。実際にやってみた方がリアリティーが出るかもしれんな」
既に彼を主役に据えたストーリーを頭の中で練り始めた男は、
「試しに俺の書いた小説の校閲をしてみるか?」
双方にメリットのある提案をする。
「アンタ、小説も書いてんの?」
「偶然だが、K凡社から書いてみないかと言われていてな」
書き始めたところだ。
「おっ。もしかして処女作か」
「そうだ。お前のようなドラマ通に最初に読んでもらえば参考にもなる」
「そんな貴重なモンを俺なんかが見ても良いのかよ?」
「校閲の練習になるのではないかと思ったんだが」
気が進まぬようなら・・・
話を打ち切ろうとした男を慌てて止める。
「いや、めっちゃ気ィ進んでるから!」
やりたい!  やらせてください!!


後日。
途中まで書き上げた処女作を渡す為に男は青年を呼び出した。
「へぇえ、ミステリーか」
「時代物だと思ったか?」
「おう。その方がアンタっぽい気がしてた」
ただ単に彼の書いた時代劇にハマったからという説もあるが、青年は素直に感想を述べた。
「せっかくなら、事実確認をしやすい方が良いと思ってな」
時代は現代で、実際の地名も使っている。
「事実確認しやすい話をわざわざ書いてくれたのか?」
俺の為に!?
「まあ、互いに初めての作業だからな」
「うわぁ、なんか悪かったな」
俺、頑張ってソッコー校閲してくっから!
原稿を手に、気合いを入れる青年。
男はその様子を見て、つい笑ってしまった。
「締め切りはまだ先だ。急がずとも良い」
「けど、早くやりてぇじゃん!」
一刻も早くといううずうず感を醸し出す青年に、
「ここで作業しても構わんぞ」
男は場所を提供しようと思い立つ。
先日青年の住まいを聞いて、大学に通うにもバイト先に行くにも不便そうだと思っていたのだ。
「え?」
「K凡社メインでモデルの仕事があるなら、ここからの方が通うのに近いだろう」
「そりゃそうだけど、俺がいたらアンタの邪魔になんねぇ?」
「邪魔ではない。部屋は余っているしな」
それに、俺が余計な仕事を頼んでいるのだ。
その分で削ってしまう青年の時間を、少しでも有意義に使って欲しかった。
「ソレ、すっげー助かる!」
実はさー・・・
と語り始めた青年の話では、今借りているアパートは3月が更新時期で、翌月から家賃が上がる為どうしようかと考えているところだったそうで。
「なぁ、しばらくここに住んでもいいか?」
アンタの小説の校閲が終わるまででも!
渡りに船とはこのことだとばかりに、青年は尋ねた。
「ああ。好きなだけいると良い」

そんな経緯で、校閲者志望の青年はその日のうちに脚本家の男宅に転がり込み、同居生活が始まったのだった。




つづく。


ごめんなさいごめんなさい(>_<)
公式ミホ誕なのに完結まで持ち込めませんでした~(/´△`\)
ミホゾロ感もまだ薄いですし、反省してます\(_ _)
でもミホ様、お祝いしたい気持ちはあったんですよー!
改めて、お誕生日おめでとうございます( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
 

『校閲ボーイ』(前編)

 投稿者:ヨーコ  投稿日:2017年 3月 4日(土)23時01分57秒
返信・引用
  「ちょっと待ったぁああ!!」
青年は大声で叫んで歩道橋の中央で佇む男にタックル。
「・・・っ!?」
不意を突かれた男はバランスを崩し倒れ込んだ。
「・・ってぇ」
声を漏らしたのは青年の方。
自分より体格の良い男の下敷きになっているのだから仕方がない。
彼を庇うように、無意識に横抱きにしたのだ。
「・・・大丈夫か?」
慌てて立ち上がり、青年に手を貸した男に、逆に訊く。
「アンタが大丈夫なのかよ?」

夜目にも鮮やかな緑の短髪にピアス。
今時の若者らしく言葉遣いは誉められたものではないが、悪気はないらしいと男は思う。
春とは名ばかり、まだ肌寒い夜に上下ジャージで素足にサンダル履きの青年を、近所に住んでいてコンビニにでも買い物に来たのだろうと推測する。
そこまで一瞬で分析し、人間観察が癖になっている自分に苦笑した。
「怪我はしていないが、いきなり飛びかかられても困る」
正直に答えると、
「はぁ!?  助けてもらっといてなんだ、その言い種」
ムッとしながら言い返され、ひどく驚いた。

「助けた?」
「そうだぞ。あんま思い詰めんなよ」
これから良いこともあるって。
「・・・・・」
返答に困っている沈黙を肯定と取った青年は熱く語り始めた。
「道が見えねぇのは、自分が見ようとしてねぇからだ。っていうだろ?」
決して暗闇のせいじゃねぇんだって。
「それは・・・」
「けどな、無理に目ぇ凝らさなくても、朝まで待ったら明るくなって自然と見えたりすんだぜ」
夜は暗くてろくなこと考えねぇモンらしいからさ。
「『ヤミヨニカラス』か」
「おっ!?  アンタも見てんじゃん」
すげぇ好きなドラマだったんだよなー。
「・・・まあ、見ていないと言えば嘘になる」
「んじゃ、話は早い」
自殺なんてやめろ!
がしっと肩を掴んで言い切った青年に、
「話の腰を折って悪いが、俺はもともと自殺などする気はない」
やっと誤解だと告げることの出来た男は、心配してくれた優しさには感謝するがと付け足した。
「・・・・・え!?  嘘だろ」
すんげぇ思い詰めた顔してたじゃんか。
「こういう顔なのだ」
「こーゆー顔って・・・」
「考え事をしながら夜の街を眺めているのは不自然か?」
「えーと・・ケッコー不自然に見えたんだけど」
この辺って人通りも少ねぇし、手すり低いって有名な橋だし・・・
答えながらまじまじと男の整った顔を眺めて、自分の勘違いだと認めた青年は、
「・・・悪かった」
頬を染め、素直に頭を下げる。
男は艶やかな黒髪に厳めしい髭を蓄え、どうにも近寄りがたく気難しそうな印象だ。
が、街灯の光を受けて輝く金色の瞳は美しく、見つめ続けたらうっかり吸い込まれてしまう気がする。
「ふむ。こういう出逢いも悪くはないな」
長身の男はそう呟くと、
「どうだ、一杯付き合わんか?」
青年が断れないような魅惑的な笑みを浮かべたのだった。


「モデル?」
青年が仕事帰りだと聞き、自分の洞察力も地に落ちたと少々落ち込む男。
「まあ、素敵」
男の行きつけの小料理屋では、美人で料理上手な女将が話し相手もしてくれる。
青年は照れたように笑って付け足した。
「って言ってもバイトな」
次のモデルが見付かるまでの繋ぎで。
「ほう」
ファッション誌のモデルなら私服にも気を遣うものなのでは、と思っていた男は認識を改めなければと反省した。
「お顔立ちも凛々しいし、きっと人気があるんでしょうねぇ」
女将が誉めると、
「どうかな? まだ実際に雑誌掲載されてねぇから」
と現状を説明した後、
「ホントはさ、校閲やりたくてK凡社で働きたかったんだ」
と愚痴めいたことを口にする青年。
「校閲?  そんな地味な仕事に興味があるのか?」
変わっているな。
「ドラマで見て、楽しそうだと思ってよー」
「ああ、そのドラマ私も見てたわ」
女将だけでなく、男もピンと来たが、それがきっかけで働こうという若者がいるのかと興味が湧いた。
「あれ面白かったろ?  俺みてぇな奴が結構いたらしくて校閲部のバイトは断られちまってさぁ」
あ、ポン酒おかわり。
ぐいぐい杯を空けながら、自分のことを語る青年は、
「なかなかの影響力だな」
相槌を打ってもらえてご満悦だ。
「だろ?  で、粘ってたら、急に辞めちまった読モの代わりに専属モデルやってたら、そのうち校閲部に口利きしてくれるってファッション誌の担当者が言うから」
まだ撮影は2回目でポージングとか慣れてねぇけど。
酔いが回って来たのか、指示されてやったらしいポーズを取る若者はなかなか様になっていた。
「きゃあ、カッコいい!」
「そのうち、モデルの仕事の方が良くなるのではないか?」
華やかだし、お前に合っていそうに思えるが。
「いーや、俺はぜってぇコーエツになる!」
握りこぶし付きで宣言され、
「それはやはりドラマの影響か?」
思わず尋ねる男。
「そうだけど」
当然のように答えられ、
「俺もいつか誰かの生き方に影響を及ぼすようなドラマを作りたいものだ」
と本音を漏らす。
「え!?  アンタ、テレビ業界の人?」
クリエイターとか?
「あらやだ、先生ご自分のお仕事教えてらっしゃらなかったんですか?」
女将が呆れたように口を挟んだ。
「言う必要もないと思ったんだが・・・」
「えー?  聞きてぇじゃん」
青年に促され、男はしぶしぶ答えた。
「脚本を書いている」
ところ構わず人間観察や考え事をしてしまうのは職業病かもしれん。
先程男が不自然に歩道橋で立ち止まっていた理由もわかり、青年は思わず叫んでいた。
「マジで!?」
カッケー!
「決して格好の良い職業ではないがな」
結局視聴率が取れなければ良い作品とは認められない。
「アンタの作品、視聴率取れてねぇの?」
ってか、どんなドラマ書いた人?
興味津々で尋ねる青年。
「お前が好きだと言った『ヤミヨニカラス』は最高視聴率が6%だった」
自嘲気味に笑って答えると、
「・・って、アンタ・・・」
みるみる表情を変えた青年は、
「ジュラキュール・ミホーク!?」
キラキラした眼差しで男を見つめた。
「良く知っているな」
「うわー、マジか」
「マジよ。時々お仕事仲間の方達とも来てくださるの」
女将の補足でますます興奮した青年は、パンパンと両頬を叩き、酔いを冷まそうと努力している。
そんな仕草が可愛くて、男は相好を崩す。
「台詞を覚えている若者がいるとは思わなかった」
あれはシルバー向けのドラマだったからな。
「『ヤミカラ』はノリが時代劇っぽくなくて、毎回見た後心地好くてハマってたんだよなー」
家族で見てた。
「しかし、いくら好きな作品でも脚本家の名前まで把握している視聴者は少ないと思うぞ」
「あー、そうだな。アンタは特別」
原作なしのオリジナル脚本が多いだろ?
「ああ。良く知っているな」
「ストーリーはもちろんだけど、台詞回しとかも俺のツボなんだよ」
「それは光栄だ」
滅多に出会わない若者のファンに誉められて悪い気はしない。
「なぁセンセェ、後でサインくれよ」
「それは構わんが・・・」
「ラッキー!  サンキュー」
喜ぶ青年を見て、男が新しい提案をした。
「仕事部屋に台本がある」
それにサインするか?
「すげぇ!  いいのか!?」
興奮した青年は、誘われるまま彼の自宅兼仕事場に付いていったのだった。





つづく。


中途半端でごめんなさい~(ToT)(ToT)(ToT)
今日中に少しでもお祝い出来ればと思ったので、見切り発車的にアップさせていただいちゃいましたf(^_^;
ミホ様、My設定ですが、お誕生日おめでとうございます~゙(pq´∀`)┌iiiiii┐(´∀`pq)゚゚

あ、小料理屋さんは『相棒』花の里のイメージなんですvvv
 

『光と闇の狭間に』(本タイトルにしちゃいます) 第19話 (最終回)

 投稿者:ヨーコ  投稿日:2016年 9月15日(木)03時39分55秒
返信・引用
  やっと最終回まで漕ぎ着けました(^^)
タイトルはしっくり来るのが思い付かなかったので、このままにさせていただいちゃいますね。



「今夜はお礼の宴をしよう!」
コラソンが嬉しさを隠せない様子で提案したのですが、
「気持ちはありがてぇんだが、取り敢えずちょっと寝かしてくれ」
気が緩んで一気に力が抜けたゾロが願い上げます。
「そうだな。睡眠不足で登山をしたからな」
さすがに疲れた。
ミホークも同意します。
「おー。予想外の鬼退治もあったし」
銀の繭を見ながらゾロが言うと、
「苦労を掛けた。ゲストルームを用意させる」
ローが急いで部下に指示を出しました。
「思う存分眠って疲れを癒してくれ」
コラソンはそう言った後、
「あ、同室だとゆっくりは眠っていられないか?」
と笑って付け足しました。
「ばーか」
ゾロも笑って受け答えたものの、ミホークが隣に横たわっている状態ですぐには眠りに就けないことなど想定内で。

実際愛され過ぎて足腰立たずに滞在期間が長くなってしまったのですが、もう少し帰りが遅かったら心配性の家臣達が二人を捜して慣れない登山を始めるところだったようで、とても正直に理由を説明することは出来ませんでした。
「じいは心配で眠れませんでしたよ!」
「すまなかった。連絡を取る手段がなかったのだ」
「ご無事だったから良かったようなものの・・・」
「こんな冒険は二度としないと誓う」
「本当に、これ以上じいの寿命を縮めないでくださいね」
「わかったわかった。悪かったから」
平謝りさせられている国王の隣で、ゾロも頭を下げます。
(だから、あんまりしつこくすんなって言ったのに・・・)
(もっともっととねだったのはお前の方だろう)
(んな・・・っ/////)
違うと否定も出来ずに耳まで真っ赤になっているゾロを見て、泣くのを我慢しているのだと勘違いしたじいやはお小言をやめてくれました。
「とにかく、もう無茶はしないと約束してください」
「約束する」
神妙に頷くミホーク。
「ロロノア様もですぞ?」
あなたは既に黒の国の大切なお妃様なのですから。
「はい!  ごめんなさい!」
叱られながらも、自分を王妃と認めてくれているのだと嬉しくなり、ゾロはその日から王族としての自覚を持って行動するようになりました。
結果オーライです。


その後の展開は速やかでした。
過酷な労働から解放された黒の国の民や緑の国の民は大喜び。
久しぶりの我が家で、それぞれが感動の再会を果たしました。
そして、コラソンとローが丁寧に夢遊病患者の治療を行った為、二度と“ハクバ”が現れることもなくなったのです。
国の領土問題は・・・
ミホークの提案が受け入れられ、昼間はもと白の国の民が、夜は黒の国の民が働くシステムを確立。
「24時間眠らない国をつくろう」
が合言葉となり、旅人にも好評なコンビニエンスな国家が誕生したのでした。


「俺は今は王になるつもりはない」
しばらくは恩返ししないと悪い。
コラソンは、恩人である黒の王に仕える道を選びました。
「まあ、黒の王の目が届かない日中くらいは俺が仕切っても良いけどな」
清々しい笑顔で付け足す彼に対し、
「白の国は復活させないのか?」
尋ねたローは少々不満顔です。
「いずれは・・・それは兄貴を改心させてから考える」
お人好し過ぎる感のあるコラソン。
それでも、ローはそんな彼の選択を尊重して頷きます。
「コラさんのしたいようにすればいい」
「了解。んじゃ、ロー!  今すぐ結婚しようぜ」
「は!?  いきなり何言ってんだ?  バカなのか!?」
「だって、俺のしたいようにすればいいって・・・」
「俺はそういう意味で言ったんじゃない/////」
相変わらずのツンデレぶりは治りませんが、もちろんこの二人も幸せに暮らしています。


ドフラミンゴ?
銀の繭の威力は絶大で、今はおとなしく反省しているようです。
更生して、催眠術という能力を良い方向に活用出来る日が一日も早く訪れますように!



ミホークとゾロは、国の情勢が落ち着いた頃を見計らい揃って緑の国の女王ツルに結婚の報告をしに出掛け、これでもかというほどのお祝いの品を貰って帰国したのでした。
「なんかプレゼント貰いに行ったみてぇになっちまったな」
恐縮するゾロに、ミホークは微笑みながら答えました。
「ツル婆さんもお前が気に入ったんだろう」
俺個人には贈り物をくれたことなどないからな。
「マジで!?」
「それに、緑の国と黒の国の国交の為にも、お前は一役買っているのだ」
その報酬だと思えば良い。
「ひゃ~。責任重大だな」
「そうだ。だが、その重責から逃げ出すことは許さんぞ」
帰る場所はないと思え。
「もともと帰る気なんかねぇよ」
アンタが俺の家になってくれんだろ?
「可愛いことを言う」
「・・・いや、可愛いとかそーゆーんじゃなくて、自分の立場を自覚してんだよ/////」
愛し愛される家族が出来たことが、ゾロは嬉しくて仕方ないのです。
その相手が、他ならぬミホークだということも。
また、家臣達が温かく迎えてくれていることも。
だから母国から離れて暮らすことも、ちっとも苦ではありません。
少し元気が良すぎて危なっかしいけれど、気立ては絶品と評判の若い王妃を迎えた国王も、“ハクバ”による長年の苦悩からも解放され、若返って見えます。

光と闇の境がなくなった黒の国。
もと白の国の民の存在も明らかになった今、それぞれが協力し合う国家の在り方は理想的だと他国からもお手本にされ、更に発展していく未来は約束されたも同然です。
住みやすい国は幸せな民を生み、育むことでしょう。

その予想を裏切ることなく、黒の国に住む人達はみんな、末永く幸せに暮らしましたとさ。




めでたしめでたし。



無理矢理昔話風に終わらせてみましたが、不自然だったでしょうかf(^_^;
長いことお待たせした挙げ句にこんなオチ!?
お怒りの方には深くお詫び申し上げます(T-T)(T-T)(T-T)
そして、ここまでお付き合いくださった皆様には心より感謝致しますm(。≧Д≦。)m
どうもありがとうございました!
 

『光と闇の狭間に』(仮タイトル) 第18話

 投稿者:ヨーコ  投稿日:2016年 8月29日(月)22時18分28秒
返信・引用
  なかなか更新出来なかった上に、かなりなご都合展開になっちゃいました(^o^;)
併せてお詫び申し上げます~m(__)m



「ミホーク!」
来てくれたんだと振り返ることも出来ずにいたゾロですが、夫の声が聞こえただけで安堵の表情に変わります。
「黒の王か」
余計なことをすればコイツの命はないぞ?
相変わらず余裕の口調で、ドフラミンゴがゾロごと体の向きを変えました。
ミホークの正面に盾のようにしたのです。

黒の国の王に与えられた銀を溶かす能力。
それを活かして封印して欲しいと聞いても、コラソンがされていたようにドフラミンゴを銀で加工した牢に閉じ込める程度に考えていたのです。
が、
「貴様、許さん!」
ゾロが絡んだことによる怒りのパワーは、ミホーク自身コントロールするのが難しく・・・
「ロロノアに触れたこと、後悔させてやる」
くぐもった声で宣言した後、ゾロに目配せをしました。
(ロロノア、剣を寄越せ)
手を拘束されていて使えないゾロでしたが、自由な足で自分の方に剣を蹴ってくれと訴えたのです。
(まかせろ!)
以心伝心。
ゾロは勢いよく柄の部分を蹴りました。

足元に転がってきた銀の剣を素早く拾ったミホークは、
「ドフラミンゴ!  その手を離せ」
怒鳴ってもやめる気がない彼に対して、躊躇うことなく剣を投げ付けました。
「おい、余計なことをするなと・・・ぁつッ」
咄嗟に盾状態のゾロに隠れようとしたドフラミンゴですが、間に合わず。
左腕を銀の剣がかすめ、その痛みと火傷の熱さでゾロを拘束していた腕が緩みました。
「サンキュー、ミホーク!」
一瞬の隙を突きドフラミンゴから離れたゾロは、ミホークが投げた自分の剣を拾ってから、彼の元に駆け寄ります。
「ロロノア、怪我はないか?」
「おう!  助かったぜ」
アンタ、コントロール良いんだな。
「ダーツは得意でな」
ゾロを救えた安心感で、ミホークの先程までの怒りのオーラは治まりつつありました。
「へぇえ。今度教えてくれよ」
「いいだろう」
「やった!」

自分を無視して二人の世界に入っている彼らを見て、
「おいおい、何決着ついたみたいな顔してやがる」
左腕を押さえてドフラミンゴが声のトーンを上げます。
ヒステリックな彼に対し、
「決着はついている」
ミホークは落ち着いて答えると、開け放しておいた扉から同志である精霊達がこっそりと運び込んでいた精錬された銀を手に取りました。
少しずつでも大人数で何度も運ばれた銀は、ドフラミンゴを封印するには充分な量です。
「はぁ!?  何を・・・」
「その中で反省しろ」
ミホークの手の中の銀は細い糸状に変化し、ドフラミンゴに向かっていきます。
「なんだ、これは?」
あまり危機感を覚えなかったドフラミンゴですが、その銀の糸が形を成して来た段階で顔色が変わりました。
体に触れるか触れないか程度の距離で包み込まれていくのは、なかなかの恐怖を感じるようです。
「やめろ!」
「そうはいかん」
冷たく光る金の瞳は、制裁の手を緩める気はありませんでした。
「蚕みてぇだな」
その様子を見ていたゾロがのんびりした声で感想を述べます。
「そう。銀の繭だ」
牢より相応しいだろう?
「おう。コイツにはお似合いじゃねぇの」
なあ?
遅れて部屋に入って来たローとコラソンに同意を求めると、
「さすがだな、黒の王」
コラソンから感嘆の言葉が返ってきました。
ローは気まずそうに、ゾロに謝ります。
「俺の読みが甘くて迷惑かけちまったな」
悪かった。
「何を今更・・・」
迷惑被ったのは今に始まったことじゃねぇだろ。
笑って答えたゾロは、完成した繭を見て、
「悪ィと思ってんなら、コイツのこと絶対更生させろよ?」
と釘を刺しました。
「充分に反省し、改心したら出してやれ」
そんな日が来るのはいつになるかわからんがな。
ミホークも念を押します。
「「わかった。ありがとう」」
コラソンとローが息の合った返事をしたので、
「やっぱアンタら仲良いな」
ゾロは思わず吹き出してしまいました。
この二人が中心になるなら、白の国再建も遠い未来の夢物語ではないでしょう。




つづく。



次が最終回になる予定(予定は未定ですけど;)(^^)
いつ更新出来るかわかりませんが、気長にお待ちいただけたら幸いです(^o^)
 

『光と闇の狭間に』(仮タイトル) 第17話

 投稿者:ヨーコ  投稿日:2016年 8月10日(水)22時46分55秒
返信・引用
  長い間放置してしまってすみません(>_<)
少しだけでも進めようと思い、中途半端ですが投稿しちゃいます(^-^;



「良く寝てる」
ドフラミンゴの様子を探っていたローが、三人に告げました。
「よし。じゃあ、銀で封印しよう」
コラソンの提案に、
「アンタ達は銀触れねぇんだろ?」
ゾロが尋ねます。
「そうなんだ。悪いけど、それは黒の王に頼むな」
「丸投げかよ」
大きなため息を吐いたゾロでしたが、乗りかかった船です。
ここで放り出すわけにはいきません。
「銀山で採れた鉱石では重いし、純度が足りんだろう」
ミホークも疑問を投げ掛けます。
「ああ。精錬された物を運ばせる」
同志がいると言ったろ?
今度はローが答えました。
「そうと決まれば、善は急げだ」

ドフラミンゴの寝室に忍び込んだのは、若さを買われたゾロ。
とうとう銀の剣を使う時が来たのです。
殺すつもりではなく、飽くまで封印する為のステップとして。
ベッドの上にはサングラスをかけたまま寝ているドフラミンゴ。
(寝る時はグラサン要らなくねぇ?)
疑問に思いながらもそっと近付き、彼の首筋に剣を当てます。
「死にたくなければおとなしくしろ」
静かな声で、それでも殺気を込めて言いました。
が、ドフラミンゴは動きません。
この程度では眠りから醒めないのでしょうか?
大量の銀をこの部屋に運び入れるとその段階で気付かれてしまうと思い、隣の部屋に準備しています。
そこへゾロが誘導していく手はずでした。
(起きねぇなら、この場にミホーク呼んで封印してもらえば良いか)
そう考え、気を緩めたその時、
「おとなしくするのはお前の方だ」
後ろから声が聞こえて、背筋が寒くなりました。
「な・・に?」
目の前にはまだ健やかな寝息を立てるドフラミンゴの姿があります。
「コイツ、影武者か!?」
ゾロは振り返って身構える間もなく、羽交い締めにされてしまいました。
「ソイツは俺が見せている幻覚だ」
実体はない。
「幻覚・・・」
そういえば、彼は催眠術を使うと聞いていました。
「ローがこの俺が寝たと言ったか?」
既にその時点で術をかけていたんだよ。
「くそっ、そういうことか」
全員が、ドフラミンゴに騙されていたということになります。
手強い敵を相手に、
(せめて剣先を当てられれば・・・)
怯ませることは出来そうだと剣を持つ手に力を入れようとしたゾロ。
「このまま首を絞めてやっても良いんだがな」
笑いながら囁かれ、なんとか逃れようともがきましたが、ドフラミンゴの力は殊の外強く、思うように動けません。
じわじわと痺れてきた利き手から、頼みの綱の剣が音を立てて落ちてしまいました。
それでも、
「はっ。出来るもんならやってみろよ」
強がって答えたゾロでしたが、
(・・ミホークっ!)
助けを求める心の声は止められませんでした。

そして、その声は、奇跡的に愛する夫の耳に届いたようです。

「ロロノア!」
激しくドアが開け放たれ、現れた救世主は炎のようなオーラを纏っていました。




つづく。


えーと・・・ミホ様がヒーローみたくカッコ良く見えたら良いな、と(*^。^*)
そんなことを妄想してます(^_^ゞ



 

『光と闇の狭間に』(仮タイトル) 第16話

 投稿者:ヨーコ  投稿日:2016年 7月 2日(土)07時21分18秒
返信・引用
  今回は少し緊迫感ある展開をお休みして、ほのぼの路線を目指しました。



「そんで?  お前が王になるつもりか?」
ゾロが訊くと、
「いや。もっと王にふさわしい男がいる」
ローは静かに答えました。
「彼なら、平和な国を再建出来る」
だから・・・
「アンタの力を貸してくれ!」
土下座をされ、戸惑うミホーク。
最初の横柄な彼とは明らかに違います。
「ちょっと待てよ。あつかましくねぇか?」
お前らが長年苦しめて来た超本人に頼み事かよ!?
ゾロが代わりに返答しました。
「それに、白の国を建て直すってことは、黒の国を侵食するってことだろ」
それを黒の国の王に頼むか、フツー?
半ば呆れたように言ったゾロですが、
「本当に平和が訪れるんだろうな?」
ミホークがそう尋ねたので目を丸くします。
「ミホーク?  アンタ、コイツの頼み受けてやるつもりかよ!?」
お人好しにも程があるぜ?
「断ったら現状維持だ」
もうこれ以上、罪もない民を連れ去られるわけにはいかん。
「ミホーク・・・」
王としての資質が一個人の恨みを無いものと変え、その選択をさせるのでしょう。
「黒の王、感謝する」
ローは心からお礼を言いました。


ローの部屋を出た後、複雑な経路を通って案内されたのは銀の柵で仕切られた牢。
「ここには来るなと言ってるだろう!」
お前まで謀反の疑いを掛けられる。
中には独特のメイクをした男が入っていました。
「コラさん、黒の王を連れて来たんだ」
「はぁ!?」
お前、何を・・・
「俺達でドフラミンゴを倒そう」
「ロー・・・?」

捕らえられているコラソンという男は、ドフラミンゴの実の弟なのだと牢まで歩いてくる間に聞かされていました。
兄弟でも全く性格が違い、人を拐っては働かせている兄をなんとか止めようと、再三意見していた良い人なのだそうです。
聞く耳を持たない兄にしびれを切らし、結局奴隷と化した人達をこっそり逃がそうとしたのを発見され、自分が監禁されてしまったのだとか。

「無茶をするな」
心配顔で言うコラソンに、
「同志は募ってある。黒の王も協力してくれるそうだ」
ローが力強く報告します。
「黒の王・・・今までさんざん迷惑を掛けてきたのに申し訳ない!」
コラソンは牢の中からミホークに謝りました。
「悪いのはドフラミンゴだと聞いている」
顔を上げてくれ。
「ありがとう。アンタの力は有力だ」
それから、こんな時になんだが・・・
コラソンはそう言ってゾロに視線を移し、
「結婚おめでとう!」
笑って祝福の言葉を告げました。
「え!?」
「すっごいラブラブじゃんか」
羨ましいぜ。
「な・・・っ/////」
アンタが俺達の何を知ってるってんだよ!?
「あー・・・コラさんは俺に呪術を教えてくれた人なんだ」
俺より良く見えてる。
ローの補足に、ゾロは渋面をつくり尋ねます。
「そんな能力があんなら、牢破りとかも簡単に出来んじゃねぇのかよ?」
精霊に助けてもらったりしてさ。
「ははは。精霊達はそんなにパワーないから」
でも、話し相手になってくれるし可愛いんだよな。
微笑みながら答えるコラソン。
「それでも、呪術の力があれば、少なくとも敵の動きは把握出来るわけだな」
メリットを見出だし、ミホークが言いました。
「そう。だから、寝込みを襲おうと思うんだ」
けど、その前にここから出してくれよ。
「わかった。下がっていろ」
ミホークは全面的に協力することに決め、銀の柵に手を掛けます。
すると、触れたところからみるみる牢が溶け出し、液状になっていきました。
「すげぇけど、アンタは熱くねぇの?」
ゾロは、銀のピアスが溶けた時のことを思い出していました。
出会ってすぐ色々あったので、なんだかずいぶん昔のことのようです。
「特に熱くはないが、体力は使う」
「そっか。じゃあ、あんま無駄使いすんな」
「心配するな。ここは太陽の光がない分助かる」
「おお、そっか」
ラッキーだな。

ほのぼのした会話の間に牢は全壊し、コラソンは無事自由の身になりました。
「良かった、コラさん!」
「ロー、やっとお前を抱きしめられる」
「今はそれどころじゃないだろっ/////」
「相変わらずツンデレさんだなぁ」
「いや、そういう問題じゃない」
ハグを拒否されしゅんとしたコラソンでしたが、
「まあ、全部片が付いてからにしような」
立ち直りも早く、そのやり取りを見ていたゾロは笑ってしまいました。
「人のこと言えねぇぞ」
アンタ達もラブラブなんじゃん。
「微笑ましいことだ」
ミホークも温かく見守ります。
そんな四人で、これからドフラミンゴを討つ為の計画を練ることになるのでした。




つづく。


行き当たりばったりで書いてることを反省してます(。>д<)
でも、コラさんとローも幸せになって欲しいなって思ってたのでつい~f(^^;
 

『光と闇の狭間に』(仮タイトル) 第15話

 投稿者:ヨーコ  投稿日:2016年 6月27日(月)04時53分8秒
返信・引用
  謎解き回です。
こじつけ・ご都合感は拭えませんが、お許しください人( ̄ω ̄;)


「呪われてない!?」
・・・って、どーゆーことだよ?
現に人がどんどん消えてんじゃんか。
興奮して前のめりになっているゾロに、
「落ち着け、ロロノア。まずは此奴の話を最後まで聞こう」
当事者であるミホークは、諭すように言いました。
「アンタが取り乱さなくて助かったぜ、黒の王」
安堵のため息を吐いたローの説明は、以下のようなものでした。


白の国が滅びる時に最後の王が魔女に依頼した呪いの内容は“千年後に黒の国を束ねる王に恐ろしいことが起こるようにして欲しい”というもの。
魔女はそれを聞いて疑問に思ったようです。
「今の王ではなく千年後にかい?」
「どんな人間にとっても子孫が呪われる方が辛いだろう」
「酷なことを考えるもんだ」
「酷なのは我が国を滅ぼした黒の国。当然の報いだ」
「あたしゃ、そういう恨みは本人に晴らすもんだと思うけどね」
「うるさい!  魔女ごときは余計なことを考えず、言われた通りにすれば良いのだ」
「ごとき?」
白の国の王の申し出が気に入らなかったことに加え、その態度に怒りを覚えたので“魔女は王の頼みを引き受けなかった”と、白の王族だけが見ることの出来る書物に書いてあったそうです。
緑の国の女王ツルは、白の国の秘密情報までは得られず、正しい言い伝えを知らなかったということなのでしょう。
話には続きがあり、魔女は白の国の王のを嫌った為、本人が辛いと言っていた“子孫達に害”を与えてしまったのでした。
その後産まれてくる白の国の民達を、全て銀に弱い体質に変えてしまったのだとか。
もともと銀山で発展した地だった白の国。
黒の国が攻めてきた理由も銀山狙いだったのでしょうが、そんな土地での魔女の仕打ちは、白の国の民に致命的なダメージを与えたのです。

「銀に弱いのって、黒の国の一族じゃねぇのか?」
ずっとそう聞いて育ってきたゾロは尋ねずにいられません。
「千年の間には血が混じるだろう?」
今は黒の国民の殆んどに白の国民の血が少しは受け継がれているはずだ。
「その血の濃さで火傷の度合いも違うってことか?」
「詳しくはわからないが、生粋の白の国の子孫は銀に触れられない」
俺もそうだ。
「ふーん」
ゾロは自分の剣を見て、ここならこの武器は相当な威力を発揮しそうだと思いました。
「ちなみに、黒の王が代々めっぽう銀に強いのは、当時の黒の国王が魔女に捧げ物をして得た力だとか」
採掘した銀の加工に便利だと思って頼んだんだろうな。
「へぇえ」
ミホークが銀を溶かしたのは先祖代々伝わる力なのだと納得したゾロが頷くと、
「全く知らなかったな」
当のミホークは難しい顔で呟きました。
銀を溶かす力がとりわけ便利だと思ったこともなかったからです。
それにしても、どれだけ家臣達が自分に何も伝えなてくれなかったことか。

「で、ハクバの呪いってヤツはいつ出て来んだ?」
ゾロにとっての核心になかなか触れられないので、焦れてとうとう催促。
「ああ、その件は謝る」
「は!?」
「謝るとはどういうことだ?」
「さっき見ただろうが、ドフラミンゴという男が白の国の正統な後継者だ」
「いや、それは今はどうでも良いけど」
だいたい白の国はもうねぇんだろ?
「なるほど。自国を再建するつもりか」
「さすが国王、話がわかる」
ローは続けて現状を話し始めました。


王族の末裔ドフラミンゴは、過去に白の国が黒の国に奪われたことを非常に恨んでいるそうです。
そこで、伝説のように語り継がれてきた呪いを自らの手で実行しようと考えたのでした。
彼は、凶暴な“ハクバ”を呼び出すことに成功したのです。
もともと催眠術を得意としていたドフラミンゴ。
セラピーと称して催眠療法を行ううちに、目論見にピッタリな夢遊病の被験者を見付け、彼を今も利用しているのでした。
「それが人を拐う化け物?」
「そうだ。夜、黒の王が眠ったとわかった時に解放していた」
ハクバのヤツ、予想以上に多くの人を拐って、この山に連れて来た。
「で、奴隷みたくこき使ってんのか?」
ゾロはくいなの話を思い出しました。
「良く知ってるな。俺達は銀を触れないから、緑の国の民にも協力してもらっている」
「身勝手な理屈だな」
我が国に恨みを晴らしたいなら、緑の国の住民まで巻き込む必要はあるまい。
黒の王ミホークが静かな口調ながら怒りを発しているのがわかりましたが、ローは続けます。
「黒の王が苦しめば良いと、ドフラミンゴは考えている」
自分のせいで夜な夜な民が消えると思わせたかったんだろう。
「てめぇ、ふざけんなよ!」
ミホークがどんだけ悩んだと思ってんだよ!?
ゾロはローに掴みかかります。
「・・・それは見えていた」
黒の王がどのタイミングで眠るのか、また起きた時に行方不明者が出たことを知り、どれほど苦しんでいたか。
「それも呪術師の能力か?」
尋ねたのはミホーク。
「そうだ」
「だが、心までは見えまい」
「─────!?」
ローは虚を衝かれたようになり、何も答えられませんでした。
「償えよ!」
今までのミホークの苦痛、てめぇらも味わえ!
ゾロはローを押し倒し銀の剣を抜こうとしましたが、ミホークに止められます。
「ロロノア、やめておけ」
「なんで止めんだよ!?」
コイツらがアンタのこと・・・
「もともとは先祖が恨みを買ったのだ」
「先祖が悪ィからって、アンタが報い受けんのはおかしいだろ!」
「・・・悪かった」
ゾロとミホークのやり取りを聞いて、ローが心から謝罪します。
「もう、終わりにする」
いや、させる!

その後、決意に満ちた目で、ローは宣言しました。
「ドフラミンゴを討つ」




つづく。


まるでローが主役のようになってますね(^o^;)
次回はもう少しミホゾロっぽい流れにしたいと思ってますp(^^)q
 

『光と闇の狭間に』(仮タイトル) 第14話

 投稿者:ヨーコ  投稿日:2016年 6月23日(木)02時49分2秒
返信・引用
  一週間以上放置しててすみません(>_<)
しかもまだ核心に触れきれませんでした~(^_^;)))



「お?   そこじゃね?」
行く手に、奥深そうな洞窟を発見。
「そうだな」
中は暗くて入りにくい雰囲気ではありましたが、ゾロは剣を構えミホークを背に庇うようにしながら一歩踏み出しました。
・・・と、
『侵入者発見!  侵入者発見!』
けたたましい警報音が鳴り響きビックリ。
「なんだここ?」
イメージと違ぇぞ。
要塞のようなノリに動揺して踏み止まっていると、バタバタと警備員風の男達が数人出て来ました。
が、それほど殺気は感じられません。
それでもゾロが戦う意思を示すと、
「こっちへ来い」
中の一人が手招きしてきました。
「ぁあ!?  お前が最初に殺されてぇのか?」
戦闘モードに入ったゾロでしたが、
「戦うつもりはない」
と否定され、拍子抜けします。
「とにかく早く隠れろ!」
彼はそう言って、ぐいっとゾロの腕を引きました。
そして、ミホークともども何本もある細い通路の一つにに連れ込まれてしまい、文句を言わずにいられませんでした。
「痛ぇな、おい」
「しっ!  静かにしろ」
男はモコモコの帽子を被っていましたが、その下の鋭い眼光をミホークに向け、
「やっぱり来たな、黒の王」
不敵な笑みを浮かべました。
「俺が来ることがわかっていたような口振りだな」
睨み返す金の瞳に、
「ああ、計画通りだ。俺達に力を貸してくれ」
偉そうに頼み事をした男は、続けて、
「俺はトラファルガー・ロー。白の国の子孫だ」
と名乗りました。
「てめぇが呪術師か!?」
「そうだ」
「じゃ、今すぐミホークの呪いを解きやがれ!」
ローの襟元を掴んで絞め上げながら訴えるゾロに、
「・・・っ!  その前に少し話をさせろ」
苦しさで涙目になりながら答えるロー。
その後、はっとしたように身構え、ジェスチャーで黙れと指示します。

「侵入者はどこだ?」
少々クレイジーな声が聞こえて、メインの通路の空気が凍り付いた気配がしました。
「は・・はい。それが警報器の誤作動だったようで・・・」
先程の警備員の一人が恐る恐る答えています。
「なんだと!?  良く調べたんだろうな」
「もちろんです!」
「今後は点検の回数を倍にしますので」
ほかの警備員達も、口々にゾロとミホークの存在を隠そうとしているようです。
「そうか。しっかりしろよ、お前達」
ここの上質な銀を狙う輩がいてもおかしくねぇんだ。
「「「はい!  ドフラミンゴ様!」」」


ピリピリと張り詰めた緊張感が去った後、ローは出ていき、警備員達に労いの言葉を掛けました。
「お前達、良くやった」
すると、
「ロー様、本当に黒の王が我らの救世主なんですか?」
まだ信じられないというように質問が。
「少なくとも、俺はそう信じている」
「おい、救世主ってなんだよ?」
呪いの件から先に解決しろよ!
我慢しきれずゾロが怒鳴ると、
「だから、これから説明してやる」
呪術師ローは、侵入者改め訪問者二人を自室に案内したのでした。




つづく。


次こそ謎解き回に~、と思ってます(^o^;)
ラブも萌えもない話になってて申し訳ないですが、もう少しお付き合いいただければ幸いです!
 

『光と闇の狭間に』(仮タイトル) 第13話

 投稿者:ヨーコ  投稿日:2016年 6月15日(水)03時35分58秒
返信・引用
  まだ謎解きには至りませんが、途中段階もご覧いただけたら幸いです。



「は!?  昨日は一睡もしてねぇじゃん!」
化け物に変わる暇なんざなかっただろ?
一晩中愛されていたゾロだからこそ言える台詞。
「確かに眠る暇などなかったな」
ニヤリと返され、激しい夜を具体的に思い出してしまったゾロは頬を染めます。
新妻はそんな初々しい反応をした後、
「化け物は、やっぱアンタじゃねぇんだ!」
希望を込めて言いました。
「そうだと良いがな」
ミホークにとって、それが真実ならどんなに心が軽くなるでしょう。
「とにかく、呪術師のとこに行って確かめようぜ」
あ、その前に、くいなに訊いとくか。

王の前に呼び出されて驚いたようですが、ゾロと対面式で話せる状況を作ってもらったので、
「あー・・・なんかね、白いお化けみたいなのだった」
拐われた時の記憶を辿って説明を始めるくいな。
「教科書の挿し絵みてぇな?」
「あー、そうそう。すんごい力で叶わなかったわ~」
もちろん銀のお守りなんて効果なかった。
「で、山の上の方に連れて行かれて・・・」
「山の上!?」
呪術師がいるとこじゃん。
思わずゾロが口を挟みます。
「そこで奴隷みたいに働かされてる人達がいて、怖くて逃げ出したんだよね」
「そうなのか?」
ゾロが考えていたのは、ミホークかもしれない化け物が人を拐って食べてしまうというイメージ。
そうではなく、労働力として使う為の誘拐なのでしょうか?
「山には雪が残ってたから、下までたどり着く前に滑り落ちて頭打って記憶飛んじゃってさぁ」
気付いたらこのお城に保護されてたの。
「は!?  だから帰って来なかったのか?」
「うん。最近全部思い出したんだけど、ここの人達にはお世話になったし、今は恩返し期間ってわけ」
「それじゃ、俺も夜抜け出して拐われて逃げ出してここに来たと思ってたのか?」
「うん。アンタはいつも私の真似してたから」
「ざけんなよ」
そりゃガキの頃の話だろ。
「まあ、事情はペローナから聞いたわ」
王様に囲われたんだってね。
「あの女か~/////」
マジで言いふらしやがったんだ。
「囲ったという言い方は適切ではない」
いきなり会話に割って入ったのはミホーク。
「王様?」
「ロロノアは正式な妻として迎え入れた」
「え!?  じゃ、お妃様ってことですか?」
「そうだ。皆の誤解を解いておいてくれ」
「は・・・はい!」
返事をしながら複雑な表情でゾロを見たくいなは、
「もう気軽に話しかけられなくなっちゃうね」
寂しそうに言いました。
「アホか。俺は俺だ」
何も変わらねぇぞ。
「そうかもしれないけど、お妃様を呼び捨てってのもね~」
「おーう。それもそうだな」
これからはゾロ様って呼べよ?
わざと偉そうに言うゾロに対して、
「なんっか悔しいわね」
不満顔で答えるくいな。
「冗談だよ」
からかっただけだと笑った後、
「今まで通りで良いから、お前も協力してくれ」
ゾロは本題を切り出したのでした。

「覚えてないわ~」
滑り落ちたって言ったでしょ?
「なんとなくで良いからよ」
山の上の呪術師がくいなを拐ったのだと仮説を立てたゾロは、そこまでの行き方を訊いていました。
「確か、あのハート型に残ってる根雪の辺りだったような気はするけど・・・」
標高の高い山の上にはいくつかの雪渓が見えます。
目星がついただけでも助かりました。
「わかった。サンキューな」

不確かな情報ばかりではありましたが、とにかく真相に辿り着こうと、ゾロはミホークと共に山の上の呪術師探しに出発したのでした。


「新婚旅行にしては色気ねぇけど、山の上なら涼しいかもな」
あ、逆に寒いくらいか。
道中ふざけて言った台詞に、
「暑くても寒くても、お前とならどこへ行くのも楽しい」
と返され、辺りに甘い空気が漂い始めます。
「俺もそう思う」
これからもいっぱいどっか行こうな。
新婚さんは、何をしていても二人一緒なら幸せなのです。
険しい場所ではどちらからともなく手を取り合い、登山は順調に進みました。




つづく。


次回は核心に触れたいと思ってます(^_^ゞ


 

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